◆遺贈登記(遺贈を原因とした土地や建物の名義変更)について
遺贈登記とは、亡くなった方が遺言書で土地や建物をあげると定めていた場合に、
その遺言に基づいて行う名義変更の登記をいいます。
遺贈には、法律上の相続人に財産をあげる場合と、内縁の配偶者や世話になった方など、
相続人以外の方に財産をあげる場合があります。
どちらであるかによって、登記の申請方法や登録免許税などの取扱いが異なりますので注意が必要です。
◆遺贈登記の申請方法
遺贈によって土地や建物を取得した方を「受遺者」といいます。
受遺者が遺言者の相続人である場合には、令和5年4月1日から、
受遺者が単独で遺贈登記を申請できるようになりました。
遺言執行者や他の相続人と共同で申請する必要がなくなりました。
この取扱いは、令和5年4月1日より前に亡くなった方の遺贈についても適用されます。
一方で受遺者が相続人以外の方である場合には、従来通りの取扱いとなり、
遺言執行者がいるときは、受遺者と遺言執行者が共同で申請します。
遺言執行者がいないときは、受遺者と遺言者の相続人全員が共同で申請します。
◆相続人への遺贈登記(受遺者が単独申請する場合)で必要となる主な書類
- 1、遺言書
- 2、遺言者の死亡の記載がある戸籍謄本
- 3、受遺者が遺言者の相続人であることを証明する戸籍謄本等
- 4、遺言者の住民票の除票や戸籍の附票など、登記簿上の所有者と同一人であることを確認する書類
- 5、受遺者の住民票(日本国籍の方は本籍地の記載があるもの)
- 6、遺贈する土地や建物の固定資産評価証明書等
- 7、受遺者の委任状(司法書士に依頼する場合)
※この方法による場合、遺言者の登記済権利証・登記識別情報や、
遺言執行者・他の相続人の印鑑証明書は不要となります。
◆相続人以外の方への遺贈登記(遺言執行者がいる場合)で必要となる主な書類
- 1、遺言者の遺贈する土地や建物の登記済権利証または登記識別情報
- 2、遺言者の住民票の除票や戸籍の附票、死亡の記載がある戸籍謄本、遺言書
- 3、遺言執行者の印鑑証明書(発行後3カ月以内のもの)
- 4、遺言執行者の選任審判書謄本など、資格を証する書類(遺言書で確認できる場合を除きます。)
- 5、受遺者の住民票(日本国籍の方は本籍地の記載があるもの)
- 6、遺贈する土地や建物の固定資産評価証明書等
- 7、受遺者と遺言執行者の委任状(司法書士に依頼する場合)
◆相続人以外の方への遺贈登記(遺言執行者がいない場合)で必要となる主な書類
- 1、遺言者の遺贈する土地や建物の登記済権利証または登記識別情報
- 2、遺言者の住民票の除票や戸籍の附票、遺言書
- 3、遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本等、相続人全員を確認できる戸籍関係書類
- 4、遺言者の相続人全員の印鑑証明書(発行後3カ月以内のもの)
- 5、受遺者の住民票(日本国籍の方は本籍地の記載があるもの)
- 6、遺贈する土地や建物の固定資産評価証明書等
- 7、受遺者と遺言者の相続人全員の委任状(司法書士に依頼する場合)
◆必要書類についての補足
※受遺者の住民票は、住所を証明するためだけであれば本籍の記載は必須ではありませんが、
国籍等を証する書類としても使用することができます。
※遺言者の住民票の除票等は、登記簿上の所有者との同一性を確認できるように
本籍や住所の履歴など必要な事項が記載されたものをご用意いただきます。
※自筆証書遺言など、家庭裁判所の検認が必要な遺言書については、
検認済証明書を付した遺言書が必要です。ただし、公正証書遺言や、法務局の自筆証書遺言書保管制度を
利用した遺言書について交付される遺言書情報証明書の場合は、検認不要です。
※登記済権利証・登記識別情報が必要な場合でも、紛失などにより提供できないときは、
別の本人確認手続によって登記を申請できる場合がありますので、ご相談ください。
※上記は、国内に住所を有する個人の受遺者を想定した主な書類のため、必要書類は、
遺言の内容や戸籍・登記の状況、受遺者が法人である場合などによって異なります。
◆遺言書で相続人に土地や建物をあげる場合
遺言書で相続人に土地や建物をあげる場合、遺言書の文言が「相続させる」であれば、
通常は相続を原因とした相続登記として、取得する相続人が単独で申請することができます。
また、「遺贈する」と記載されている場合でも、受遺者が相続人であれば、令和5年4月1日から、
遺贈を原因とした登記を単独で申請できるようになっております。
これら以外の文言の場合には、遺言書全体の内容などから、相続を原因とした登記となるのか、
遺贈を原因とした登記となるかを判断する必要があります。
なお、相続人への遺贈の登録免許税率は、相続登記と同じように
原則として不動産の価額の1000分の4となります。
◆遺言者の死亡時の住所と登記簿上の住所が異なる場合
相続登記の場合には、被相続人の死亡時の住所と登記簿上の住所が異なっていても、
前提として住所変更登記をする必要はありません。
また、相続人への遺贈について、受遺者が単独で遺贈登記を申請する場合も、
前提として住所変更登記をする必要はありません。
ただし、どちらの場合も、住民票の除票や戸籍の附票などにより、亡くなった方が
登記簿上の所有者と同一人であることを確認できる書類が必要です。
一方で、相続人以外の方への遺贈については、原則として、前提となる住所変更登記が必要です。
◆遺贈登記の申請義務について
令和6年4月1日から、相続人が遺贈によって土地や建物を取得した場合も、
登記の申請が義務付けられています。
自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、遺贈によってその不動産の所有権を
取得したことを知った日から3年以内に、登記申請する必要があります。
令和6年4月1日より前の遺贈も対象となり、同日より前に相続の開始と不動産の取得を
知っていた場合の申請期限は、令和9年3月31日です。
同日以降にこれらを知った場合は、その知った日から3年以内となります。
正当な理由なく申請を怠った場合には、10万円以下の過料の対象となることがあります。
なお、相続人以外の方への遺贈は、この申請義務化の対象ではありません。
◆検索用情報の申出について
令和7年4月21日からとその後の令和8年10月5日からの取扱い変更によって、
国内に住所を有する個人の方が遺贈登記などによって新たに所有者となる場合には、
登記申請に併せて、氏名・住所、氏名の振り仮名、生年月日、メールアドレス、国籍などの
検索用情報を申し出ることが必要となっています。
尚、日本国籍の方の場合は、本籍地が記載された住民票の写しや戸籍の附票の写しなどを使用しますが、
外国籍の方は、国籍・地域が記載された住民票の写しを、国籍等を証する書類として使用できます。
◆遺贈登記を弊所にご依頼の際に必要となる書類
遺贈登記で必要な書類をすべてお持ちいただくにこしたことはないですが、どこで取得すれば
いいのか不明であったり、取得する時間がなかったりすることもあると思います。
その場合は、弊所で可能な限り取得の代行を行わせていただきますので、お気軽にお問い合わせください。
◆遺贈登記に必要な費用
遺贈登記に必要な費用は、弊所へご依頼される場合、登録免許税等の実費と弊所への報酬の合計となります。
登録免許税は、登記の際に国に納める税金で、原則として次のとおりです。
| 相続人への遺贈 | 不動産の価額×1000分の4(0.4%) |
|---|---|
| 相続人以外への遺贈 | 不動産の価額×1000分の20(2%) |
不動産の価額は、原則として固定資産課税台帳に登録された価格を基準とします。
なお、相続人への遺贈による土地の登記では、一定の要件を満たす場合に登録免許税の
免税措置を利用できることがあります。
具体的な費用の総額につきましては、事案や不動産の価額、必要となる手続によって異なりますので、
お気軽にお問い合わせください。
尚、遺贈による財産の取得については、相続税がかかる場合があります。
相続人以外の方が特定の土地や建物を遺贈によって取得する場合には、原則として不動産取得税もかかりますが、
包括遺贈による取得や、相続人への遺贈による取得は、不動産取得税の非課税の対象です。