[司法書士よどがわ事務所][相続相談室]
遺留分放棄について
◆遺留分放棄とは?
遺留分とは、兄弟姉妹を除く相続人が亡くなられた方の財産に対して持っている
最低限の取り分の権利をいいます。
被相続人(亡くなる方)は、本来自己の財産の処分は自由になすことができるはずですが、相続財産は
相続人の生活保障等の意味合いも持つことから一定の範囲内で相続財産の処分を制限しようとするのが
遺留分の制度趣旨となります。
遺言や生前贈与によって遺留分を侵害された方は、財産を受け取った方に対して、
侵害された額に相当する金銭の支払を請求することができます。
遺留分を侵害する遺言や贈与が、当然に無効になるわけではありません。
具体的には、夫のAさんが不仲な妻のBさんを無視して愛人Cさんに全財産をあげると遺言書を書いて
いても妻のBさんは遺留分の範囲ではAさんの財産の権利を主張できますが、逆に主張なければ、
夫Aさんの遺言はそのまま有効です。
このように遺留分は相続人保護のための制度なのですが、Aさんの相続人が複数いる場合に、
Aさんが特定の相続人に全ての財産を帰属させたいという時には不都合が生じます。
たとえば、Aさんに子供のBとCがいる場合、Aさんの生前にAさんの家業を継ぐBさんが全財産を引き継ぐという
合意をABC間で行っていた場合でも、Aさんの死後にCさんが合意を翻した場合などにはAさんの目的を達成
することができません。
このような場合に遺留分の放棄を事前にすることによって後の紛争を回避することができます。
ただし、遺留分放棄は、放棄する方の自由な意思に基づいて行う必要があり、財産を残す方や
他の相続人が一方的に放棄させることはできませんので注意が必要です。
弊所でも遺留分放棄の許可申立書など、家庭裁判所に提出書類作成に関するサポートを
っておりますので、お気軽にご相談ください。
遺留分放棄に関するご相談は 06−6326−4970 まで
◆遺留分の割合について
�@直系尊属(父母・祖父母など)のみが相続人となる場合は「3分の1」
�Aそれ以外の場合は 「2分の1」
具体的な個別的遺留分は上記割合に法定相続分をかけたものとなります。
例えば、妻と子供1人が相続人の場合は、�Aの割合に法定相続分の2分の1をかけたもの
となりますので、個別的遺留分は4分の1となります。
また、妻と子供2人が相続人の場合は、、�Aの割合に法定相続分の2分の1をかけたもの
となりますので、妻の遺留分は4分の1、子供の遺留分は各8分の1となります。
尚、相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合、配偶者の遺留分は「2分の1」ですが、
兄弟姉妹には遺留分はありません。
そのため、兄弟姉妹に財産を取得させたくない場合には、遺留分放棄を求める必要はなく、
遺言書を作成することによって対応が可能です。
◆遺留分放棄の手続き
1、家庭裁判所に申立て
被相続人の生前に遺留分を放棄する場合は、遺留分を有する推定相続人が、
家庭裁判所に遺留分放棄の許可を申し立てます。
申立人は、遺留分を放棄する本人以外の親族等が行うことができず、遺留分を有する
推定相続人本人が行う必要がありますので注意が必要です。
尚、生前の遺留分放棄について家庭裁判所の許可が必要とされているのは、
本人の意思に反して放棄を強いられることなどを防ぐためです。
これに対し、相続開始後に遺留分を放棄する場合には、そういった恐れが低いので
家庭裁判所の許可は不要です。
2、裁判所による照会
申立書の提出後、家庭裁判所から申立人本人への書面による照会が行われたり、
裁判所への呼出しを受けて事情を尋ねられたりすることがあります。
裁判所は、放棄が本人の自由な意思に基づくものか、放棄する必要性や合理性があるか、
生前贈与などの代償を受けているかといった事情を踏まえて審査します。
申立てをすれば必ず許可されるわけではありません。
審査の結果、家庭裁判所が遺留分の放棄を相当と認めた場合に、許可の審判がなされます。
◆申し立ての場所
被相続人の住所地の家庭裁判所
※遺留分を放棄する方の住所地とは限りませんので注意が必要です。
◆遺留分放棄の申立てに必要なもの
1、収入印紙800円
2、連絡用の郵便切手(申立てされる家庭裁判所へ確認が必要)
3、遺留分放棄の申立て書
4、申立人の戸籍謄本
5、被相続人の戸籍謄本
6、財産目録(地域によって)
7、その他(事案によって提出を求められる書類)
◆遺留分放棄の注意点
1、遺留分放棄が認められたといっても遺留分放棄をした人が相続人でなくなるわけではありません。
遺留分放棄は、遺留分による最低限の取り分の保障を手放すものであり、相続人としての
地位や法定相続分を失うものではないからです。
遺留分放棄をした方も依然として亡くなる方の財産を相続する権利を有します。
あくまで遺留分放棄が目的を達成できるのは亡くなられた方が生前贈与や遺言書によって
財産の帰属を決めている場合となります。
尚、仮に遺留分放棄のみがなされ、遺言書がない場合には、遺留分放棄した方も相続人として
遺産分割協議に参加し、相続財産の取得を求めることも可能です。
2、仮に遺留分放棄をしても相続放棄までしたわけではありません。
遺留分を放棄しても、被相続人の借金などを相続する可能性は残ります。
遺留分放棄によって、相続債務の負担を免れることはできませんので、遺留分放棄される方が
相続に全く関わりたくない場合は、別途被相続人の死後に相続放棄をする必要があります。
3、生前の遺留分放棄には、家庭裁判所の許可を受けなければ法的な効力は生じません。
被相続人の生前に、当事者間で「遺留分を請求しない」という念書や合意書を作成しただけでは、
遺留分放棄としての効力は生じませんので注意が必要です。
4、共同相続人の一人が遺留分を放棄しても、その放棄分だけ他の相続人の遺留分が
増えるわけではありません。
他の各相続人の遺留分は、放棄によって影響を受けませんので注意が必要です。
5、家庭裁判所の許可を受けた遺留分放棄は、放棄の前提となった重要な事情が変化した場合などには、
家庭裁判所による許可の取消しが認められることがありますが、単に気が変わったという理由だけで
自由に撤回できません。
そのため、放棄の意味や将来への影響を理解した上で、慎重に判断する必要があります。
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